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6月の第3日曜日は「父の日」である。母の日に比べ盛り上がりにいまひとつ欠けるのが特徴だろうか。

デパートなどはなんとか紳士用品や酒類で売り上げを伸ばそうと奮闘しているようだが、この日本では父の影は薄い。オヤジにプレゼントするぐらいなら自分で食ったり飲んだりしたほうがイイってかんじだな…父の働きによって家族の生活が成り立っているような場合でさえ、父は蔑ろにされているのが現状だ。

私が父の日で覚えているエピソードといえば、祖母が「ほんとはあんたら(子ども)がせんなんがやぞ」と愚痴を言いながら、しかたなくちらし寿司かなんかを作っていたことぐらいだ。

父を蔑ろにしていたわけではないが、「何かをあげたり、何かをしなきゃいけない」という認識はなかった。

町の図書館が父の日特集で父にちなんだ本を展示していた。数年前に読んだ『わたしの世界一ひどいパパ』という本が紹介されており、再度手に取って読んでみた。

フランスの作品で、訳者があとがきで

まったくもってひどい話でこの父親に弁解の余地はありません。彼なりに娘を愛していたなんてこともいいたくないし、ほんとにひどい親です!

と言い捨てているほど、ろくでもないオヤジの悪行が娘の視点で描かれています。

わたしのパパはあまりにもひどいので、牢屋に入れられました。牢屋の壁に飾る絵を何枚も描いてあげました。わたしは絵がへたなのですがかまいません。パパはわたしのへたな絵が大好きです。ポーカーも大好きです。お金もうけも大好きです。ウイスキーをうんと飲みます。地下鉄の中でわめいたりします。わたしのパパほどひどいパパを知っている人がいたら、ぜひ教えてください。

パパのひどい悪行いろいろ…

電車の中でてすりにぶら下がって大声で歌を歌い、誰も拍手をしないと大声で喚く。「子どもの前で恥ずかしくないんですか」と注意されると、「ぜ~んぜん!」と言って他の歌を歌いだしズボンを下ろす。娘が泣いているのを見てようやく電車を降りる。

パパはもとは消防士でずいぶん活躍していた。だがクビになってしまった。報奨金をたくさんもらうためや、新聞に自分の写真を載せるために、あちこちで放火していたことがばれてしまったからだ。それ以後ウイスキーとポーカーと麻薬とピストルの人生が新しく始まるが、お縄になるのは早かった。

浮気相手の手引きで、面会に来た娘を道連れにして牢屋を脱走する。高速のゲートを強行突破し、給油所やスタンドを脅しスイスに逃げ込み、いちばん立派なホテルで浮気相手といちゃつく。娘はテレビをつけるが、どのチャンネルもパパの顔と泣いているママの顔を映している。泣きながら寝入ると…朝パパたちはいなくなっていた。ことづては何もなかった。娘は捨てられたのです。

誰もがひどい話だと思います。

また泣き出すかわりに、わたしは鉛筆を一本手に取って絵をかきます。パパがわたしやママに体験させたあらゆるおそろしいシーン、悪い思い出を何でも描いてみます。どの絵もとても生き生きしていて上手にかけているのです。まるで突然空からわたしに才能が降ってきたように。まるで、わたしの世界一ひどいパパが、たったひとついいものをわたしに残してくれたように。

女の子の視線にお父さんを責める気持ちはいっさいありません。

訳者や読者に女の子への同情がどれほどあったとしても、です。

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