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平成24年の労働裁判記録を読んでいたら「大阪労働局長事件」がありました。

平成22年に、全国過労死を考える家族の会代表が、社員が過労死した企業の名前を公表するよう国に訴えを起こしています。

大阪労働局管内で起きた過労死について、企業名を公表するよう労働局に開示請求したところ、開示すれば被災者が特定されるおそれがあり、開示すべきではない個人情報に該当するということで、労働局は開示に応じませんでした。審査請求もしていますが、結果を待たずに国に提訴しています。

1審の大阪地裁では、企業名は不開示情報に当たらないので開示すべきとの判決でしたが、2審の大阪高裁では、不開示情報に当たるという判決でした。

2審の大阪高裁では、情報公開法5条2号イの「法人等に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを不開示情報と規定する」に力点が置かれているように思いました。

労災保険は使用者の過失や法令違反の有無を問題とするものではない。労災認定されたからといって、それだけで使用者に過失や法令違反があることを意味しない。このことが広く認識されているならば、たとえ企業名が公開されたとしても、不当に利益を害するとはいえない。しかしながら、実際には、過労死があったという事実だけで、ブラック企業と決めつける報道が多く、当該企業製品の不買行動を引き起こしたり、求職者が就職を避けるといった不利益のおそれがある。

労災認定の事実が、ただそれだけで使用者の過失や法令違反をただちに認めるものではない。

公正な判断だと思います。

労災認定されなかった場合にも同じことが言えます。労災認定されなかったという事実が、ただそれだけで使用者に過失がなかった、法令違反がなかったと認めるものではない。

しかし、これまで数多くの企業が行政の判断をもって、労災ではなかったのだから会社に過失はない、責任はない、賠償に応じる必要はないと被災労働者や家族の声をつっぱね、司法においても、行政の判断をそのまま支持してきたのではないでしょうか。

憲法で独立が保障されているにもかかわらず、行政におもねった判決をしている司法の公正とはいったい何なのでしょう。

一方に対してだけ公正であるということは不公平です。

原告の過労死を考える家族の会は最高裁に上告しましたが、訴えは退けられ、2審の大阪高裁での判決が確定しました。(2013年10月)

嫌がらせであろうと恫喝であろうと憲法で保証されているため誰でも訴訟が起こせる一方で、国から門前払いされるというのはありなんですね。


ところで、脳・心疾患で亡くなった場合、その人個人の個別の事情というものがあり、過重労働が病気を増悪させたからといって、同じ部署等で働く他の労働者にも同様のリスクがあるかどうかということですが。義務化されたストレスチェック制度が労働者を集団としてとらえ、職場環境の問題点を抽出して個人の仕事の負荷を軽減するのが目的だとしたら、過労自殺だけではなく、脳・心疾患等に関する過労死そのものを減らしていくことも可能なのだろうか。
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