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昨夜は雲がなく、宵の口にのぼったまんまるい月が家の前からくっきりと見えた。一昨夜のスーパームーンは生憎の曇り空で、時々雲の切れ間に顔を出す程度であった。しかし、澄み切った夜空に輝く月よりもむしろ風情があってよかったように思う。

丹下左膳に出てくる五百石の悪旗本・鈴川源十郎は月見をしない。

下女のさよばあさんが「殿、いい月でございますねえ」と戸を開けても「俺は月は嫌いだ」と、にべもなくはねつける。理由を聞かれ、「なぜでも嫌いだ。月を見るともの思う。ものを思えば心が苦しくなる。そのせいかもしれん」と答える。さよばあさんにすれば悪党であっても仕えている主人である。「お別れになった奥様のことでも思い出して、おさびしくなるのでございましょうよ」と言う。鈴源が月を見たくないのは、己の悪事を照らすからであると思われるが…悪党も人間であるということか。ものを思わぬ善人が多い世の中だが…

古代より月を見て人はいろんなことを思ったのだろう。月を詠んだ歌や詩は多い。月はどの国にも控えめな光を落とすが、とりわけ東洋の人間になにかを考えさせるようだ。

明け方、西の空に沈みゆく梅干しや提灯のように赤い月や、夕方に西のほうにはかなげに漂う三日月、真昼にとけかかった飴のように浮かんでいる白く少し欠けた月、真夜中にカーテンを閉め忘れた窓から煌々と部屋の中を照らす月…

月にはいろんな姿があり、人間の詩心を刺激するのかもしれない。

私は薄雲のかかった月が好きである。月の光が雲によってひろく拡散するさまがなにか希望を思わせる。

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