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アラブ人男性と結婚し、アラブ首長国連邦(UAE)に住むハムダなおこさんのエッセイ『アラブからのメッセージ』は、東日本大震災の被災者救援のため着物ショーを開催するまでの苦難を書いたものです。

UAEは2001年の同時多発テロ以来、アメリカの監視が厳しく、海外送金を伴うチャリティーイベントの開催は、国の許認可や義援金の送金ルートの確保など相当の困難であったようです。

文化の違い、常識の違い、思想の違いで生じる齟齬や誤解で苦しみつつ、壁を乗り越えてなんとか開催にこぎつけます。

観光局に着き、書類を提出するときになってスタンプを押してないことに気づき、夫に電話して1時間後にようやくスタンプを押して提出とおもいきや、そのスタンプの脇にどこそこのスタンプも必要だと言われる。「最初から言ってくれれば、夫を待つ間にそのスタンプを押しに行けたのに…なんでこんな具合にやるべきことをひとつひとつ順繰りに言うのだろう。一度に全部言えばいいじゃないか。言われた書類を言われたとおりに書いたらまだまだ先があるとは…」と、著者は深い徒労感に襲われます。

日本とはずいぶん違うな、日本なら物事が効率化されていて短時間で済むのに、と思うだろうか。あるいは、日本も似たようなものだな、と思うだろうか。

やるべきことをひとつひとつ言われて、何度も足を運んで、挙句の果てに年金不支給の憂き目にあった人多いはず…どうして必要な書類を一度に渡してくれないんだろう、どうして先に言ってくれないんだろう、言われた通りにやったのにどうしてダメだったんだろう。障害年金請求の手続きを自分でやってダメだった人の多くがそう思っているのではないでしょうか。障害年金に限らず、日本だってこのようなことは多いのです。


海外に住む人の話は、やっぱり日本がイチバンというのが多く、それを読んだ日本人の多くも、やっぱり日本がサイコー、イチバン!と自尊心や虚栄心がくすぐられるようですが、そこには他国の文化や宗教、思想などを理解しよう、認めようというという努力が全く見られません。

なおこさんは、数々の困難を試練と受け止めています。申請がようやく無事済み、観光局のあちこちの机から「おめでとう」と声があがり、担当ではない人たちも自分の苦難をずっと見ていたのだと気づきました。

海外からの観光客が最高値に達しているとか。今後労働者も増えてくるのでしょうか。難民問題はまだ他人事ですが、日本がその問題に直面したときどう対応するのか。異なる宗教や文化、価値観を持つ人たちと日本人は共生できるのか。

やっぱり日本がイチバン本とは違った面白さのある海外体験記は貴重です。



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